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同一人の役員の重任と退任就任に関し氏名住所の変更がある場合の添付書類について

コラム 商業登記

はじめに申し上げておきますが、今回のコラム内容は商業登記の「大阪法務局本局」管内のお話でございます。
法務局のローカルルールは、あなどれませんので、司法書士の先生がこのコラムを参考にされる場合は、管轄法務局にしっかり確認してください。

少し難しい話ですので、一般の方にもわかるように、入門的な部分からお話いたします。

では、内容に入ります。
株式会社の役員に関して「就任」の登記を申請するにあたり、原則、「印鑑証明書」や「本人証明情報」等を添付する必要があります。
役員の登記記録に「就任」と記録されることになります。

これが「重任」登記になりますと、「印鑑証明書」や「本人証明情報」等は不要になります。
「重任」の登記は、同一人の退任と就任が同日同時に行われた場合に、「重任」の登記がなされます。
役員の登記記録に「重任」と記録されることになります。

さて、この「重任」の登記をする場合に、代表取締役の住所が変わっていたとしましょう。
通常の変更があった順番に登記をするのであれば、
1.登記がなされている代表取締役の住所を新住所へ変更する。
2.新住所に変更された代表取締役の重任の登記をする。
という順番での登記になるのですが、実務的には、
A.住所の変更登記は不要で、いきなり新住所で重任の登記を行う。
と非常に合理的な登記を行うことになります。

通常、上記1のような住所の変更登記を単体で行う際には、特段の添付書類を必要としません。
上記Aも議事録等で登記記録とは異なる住所の代表取締役が、登記上の代表取締役と同一性があることを明示し、重任の登記を行えば、その他特段の添付書類を必要としません。
もちろん、「重任」ですので、「印鑑証明書」や「本人証明情報」等も不要です。
上記1を単体で変更登記を行う場合の扱いから考えれば、上記Aの取扱いは非常に合理的であり、得心するものであります。

さて、上記と同様で、代用取締役の住所ではなく「氏名」が変わっていたとしましょう。
婚姻等で氏が変わることもございます。

当職は、勤務時代の経験から、住所の取扱いと同様に取り扱いをし、これまで補正をもらったことはありません。
しかし、今回後述する微妙な事案を検討するにあたり、ネットや書籍の情報を一通り調べてみると、重任の際の氏名変更は、氏名が変更したことを証明する書類を添付して、上記Aの扱いで、即新氏名で重任登記をする、といった情報がたくさん出てきました。
氏名変更の証明書が必要だというのです。

あれ??
氏名変更を単体で登記申請するときは、何にも添付書類はいらないのに、重任で変更するときは必要なの??
と思ったりしましたが、経験上、大阪法務局本局の管内では、不要なことは経験済みです。
(他管轄の場合は、必要なのですかね??単体申請では不要なものを添付させられることには少し不合理を感じます)

さてさて、次に、別の問題として、「重任」ではなく、同一人が「退任」「就任」した場合の取扱いです。

例えば、役員としての任期をむかえたにもかかわらず、法律上必要な後任が選任されない場合、その役員は「権利義務者」として、後任の必要な役員が選任されるまで、その役員の職務が継続されることになります。
この場合、役員として退任はしているものの、役員としての職務を継続することになります。
その間は、「退任」の登記をすることがきません。

例えば任期満了から1年後に必要な役員として同一人が選任された場合、その権利義務者としての役員の退任日は1年前の任期満了の日となります。
「退任」と「就任」の登記申請をすることになります。

この場合、「重任」ではないので、「印鑑証明書」や「本人証明情報」等が必要なのでは、と考えちゃいますが、同一人の「退任」と「就任」も「重任」と同様に取り扱うことができ、「印鑑証明書」や「本人証明情報」は不要です。
「印鑑証明書」や「本人証明情報」等が不要になるケースは、重任だけにとどまらず、大きい意味で、同一人の退任と就任といった範囲で理解することになります。

更に、同一人の退任と就任のケースで、その間に住所や氏名の変更があった場合も、何の添付も要せずに、重任と同じように、新住所や新氏名で就任の登記をなし得るか否かという疑問がでてきますが、実はこれも、印鑑証明書等と同様の取扱いとなり、何も添付を必要とせず、登記が可能という帰結になります。

上記の添付書類の扱いは、印鑑証明書等の添付の問題も、住所等の変更証明書の添付の問題も、「重任」=「同一人の退任と就任」と広い意味で取り扱って、添付不要で大丈夫、ということになります。

さて、ようやく本題ですが、当職が依頼を請けたケースで、
X.代表取締役が既に任期満了しており、新たに同一人が就任する。
Y.その間に住所が変更している。
Z.更に氏も変更している!!

この場合、退任プラス新しく就任する登記になるのですが、同一人とはいえ、変更前の登記されている代表取締役氏名住所と新たに代表取締役として就任の登記される氏名住所を比較すると、なんと下の名前しか一致しない、ということになるので、何とも気持ちが悪い。
同一性の担保は、議事録に旧住所と旧氏名を記載しているだけです。

一致している部分がほとんどないけど、ええんか?と思いますが、ええんですよね。
上記に記載した論点が複合しているだけですから。

申請前は、それでも不安になります。
が、結果的には、変更に係る書類も印鑑証明書等も何にもいらなくて、重任と同様の扱いで登記が完了しました。

理論的には大丈夫、と頭で考えていても、実際に大丈夫か??と不安になることは多くあります。
今回のように自身の経験と書籍などで見解が相違している場合などは、更に不安が増します。

逆に、大丈夫と考えていても、補正を頂くというケースもないことはないので、辛いものではあります(汗)

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