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一般財団法人、取締役会設置株式会社や理事会設置一般社団法人にて代表理事や代表取締役が定款で直接指定されている場合の添付書類の取扱

コラム 商業登記

表題の「一般財団法人、取締役会設置株式会社や理事会設置一般社団法人にて代表理事や代表取締役が定款で直接指定されている場合の添付書類の取扱」についてです。
な、長いですね。

さて、何が疑義に思ったかというと、上記の法人は、代表理事や代表取締役の選定が法定されています。
条文を参照してみましょう。

会社法
第47条 設立時取締役は、設立しようとする株式会社が取締役会設置会社(指名委員会等設置会社を除く。)である場合には、設立時取締役(設立しようとする株式会社が監査等委員会設置会社である場合にあっては、設立時監査等委員である設立時取締役を除く。)の中から株式会社の設立に際して代表取締役(株式会社を代表する取締役をいう。以下同じ。)となる者(以下「設立時代表取締役」という。)を選定しなければならない。
2 (省略)
3 (省略)

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律
第21条 設立時理事は、設立しようとする一般社団法人が理事会設置一般社団法人である場合には、設立時理事の中から一般社団法人の設立に際して代表理事(一般社団法人を代表する理事をいう。以下この章及び第三百一条第二項第六号において同じ。)となる者(以下この条及び第三百十八条第二項において「設立時代表理事」という。)を選定しなければならない。
2 (省略)
3 (省略)

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律
第162条 設立時理事は、設立時理事の中から一般財団法人の設立に際して代表理事(一般財団法人を代表する理事をいう。第三百二条第二項第六号において同じ。)となる者(以下この条及び第三百十九条第二項において「設立時代表理事」という。)を選定しなければならない。
2 (省略)
3 (省略)

バシッと選定方法が法定されていますね。
その他に代表取締役や代表理事を選定に関する規定は存在しません。

取締役会設置会社でない株式会社や理事会設置会社でない一般社団法人では、取締役や監査役、理事や監事を定款で指定していることも多く、さらに代表取締役、代表理事まで指定していることがよくあります。
問題ありません。
取締役会設置会社でない株式会社や理事会設置会社でない一般社団法人では、代表取締役、代表理事の選定方法は、条文上、限定的に定められていません。

でも、一般財団法人、取締役会設置株式会社や理事会設置一般社団法人では、上記のように代表取締役、代表理事の選定方法が限定的に法定されています。

では、表題の問題で、これらの法人の場合、代表理事や代表取締役が定款で直接指定されている場合は、どうなるの、って問題が生じるわけです。

私が起案をコントロールできる場合、私は定款で役員の指定をしませんので、上記のような問題は生じませんでしたし、私がこれらをコントロールしない場合でも、今まで財団法人や取締役会設置株式会社や理事会設置一般社団法人を設立する場合、必ず設立時の理事会や設立時の取締役会を開いて、法律通りに、代表取締役や代表理事の選定をしてもらっていました。

ただ、コロナ禍等も含め、状況により、なるべく「会」は控えて設立を、という要望が少なからずあります。
例えば、コロナ禍の下で海外居住者等がいれば、待期期間等を考慮した進行をしなければならず、当事者が多いと大変ですし、また、オンラインの環境がなかったりする方もおられるわけですから、押印書面のやりとりが非常に大変です。

特に、設立者等がおひとり等の少数の法人、とりわけ財団法人で、役員が多数就任される組織の場合、ほとんどのことを設立者で決定できるのに、代表理事だけ多人数でわちゃわちゃ決定しなければならない、という面倒なことになってしまいます。

そこで、代表理事や代表取締役等の代表者も定款で定めちゃえ、ということですが、上記が問題になってきます。
取締役会設置株式会社では、定款で代表取締役の指定がある場合、別途に代表取締役の選定の書類を添付せずに登記ができることは知っていました。
(根拠は、会社法第29条になるようです。)

では、後で法律ができた理事会設置一般社団法人や一般財団法人でも同じ??、と思ったので、財団法人の設立に関し、申請予定の管轄法務局に照会しました(・・・実は、定款の起案を私がコントロールする進行ではなく、更に事情により補正が出せない案件だったので、多分同じ取扱いだろうと思いましたが、念のために事前に照会した、というのが本音です(汗))。

回答が返ってきたのですが、理由については少し納得がいかないのです。
ですので、納得がいっていない情報(場合によっては、誤っているかもしれない情報)を掲載するわけにもいきませんので、登記申請の上での取り扱いのみを記載させて頂きます。

結果は、一般財団法人、取締役会設置株式会社や理事会設置一般社団法人にて代表理事や代表取締役が定款で直接指定されている場合は、別途、定款以外に代表理事や代表取締役の選定を証明する書類を添付しなくとよい(代表理事や代表取締役の法定での選定が不要とは言っていない)、というものでした。

まぁ、登記上の取り扱いとしては予想通りです。その理由については、納得いってませんが、私は学者ではありませんので、素直に取扱いに従うこととします。

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