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株式分割の即日分割について

コラム 商業登記

さて、本日は、株式分割についてのお話です。
というよりも、株式分割を題材に、基準日の設定について、お話になります。

これまた司法書士向けの題材となりますね。

さて、早速、株式分割の条文を参照してみましょう。

(株式の分割)
第183条
株式会社は、株式の分割をすることができる。
2 株式会社は、株式の分割をしようとするときは、その都度、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 株式の分割により増加する株式の総数の株式の分割前の発行済株式(種類株式発行会社にあっては、第3号の種類の発行済株式)の総数に対する割合及び当該株式の分割に係る基準日
二 株式の分割がその効力を生ずる日
三 株式会社が種類株式発行会社である場合には、分割する株式の種類

同条第2項第1号にて、「基準日」を定めなさい、と規定されています。
要は、どの時点の株式を分割するのか、決定しておきなさい、ということですね。
(ちなみに、株式併合や株式無償割当については、基準日の定めをする必要はない。)

これまた、基準日について定めている条文がありますので、参照しましょう。

(基準日)
第124条
株式会社は、一定の日(以下この章において「基準日」という。)を定めて、基準日において株主名簿に記載され、又は記録されている株主(以下この条において「基準日株主」という。)をその権利を行使することができる者と定めることができる。
2 基準日を定める場合には、株式会社は、基準日株主が行使することができる権利(基準日から3箇月以内に行使するものに限る。)の内容を定めなければならない。
3 株式会社は、基準日を定めたときは、当該基準日の2週間前までに、当該基準日及び前項の規定により定めた事項を公告しなければならない。ただし、定款に当該基準日及び当該事項について定めがあるときは、この限りでない。
4 基準日株主が行使することができる権利が株主総会又は種類株主総会における議決権である場合には、株式会社は、当該基準日後に株式を取得した者の全部又は一部を当該権利を行使することができる者と定めることができる。ただし、当該株式の基準日株主の権利を害することができない。
5 第1項から第3項までの規定は、第149条第1項に規定する登録株式質権者について準用する。

同条第第3項にて、基準日を定めたら公告しなさい、と規定されています。
ということは、株式分割をする場合、基本的には、将来にむけた基準日を設定し、その基準日の株式に対して分割をすることになります。しかも公告が必要です。

となると、登記的には公告書類は添付書類にはならないのですが、中小企業の都合としては、面倒だなぁ・・、という感じになります。

ここで同項の但し書きの規定を利用することになります。
「ただし、定款に当該基準日及び当該事項について定めがあるときは、この限りでない。」

株式分割の決議と一緒に、この株式分割にかかる基準日を設定する定款変更を一緒に決議しちゃいます。
迅速に株主総会を開催できる中小企業ならではの、限定的な手法になりますが。

例えば、取締役会を設置しない株式会社にて、株式分割と基準日設定の定款変更を同時に行い、総会終了が同日10時、基準日が同日11時、効力発生も同日11時、とすれば、株式分割を即日にすることも可能です。

でも、用済みのこの特定の株式分割にかかる規定が、定款に残ってしまうのが気になったりしますよね。
後の総会で削除の変更決議をする、なんて面倒なことをせずに、株式分割の効力発生を条件に自動的に削除するような規定、例えば「本条は、本条に定める株式分割の効力発生をもって、自動的に失効し削除する。」と規定しておけば解決します。

このような定款の規定を自動的に失効し削除させるような規定は、株式分割の他、基準日設定を必要とする行為、例えば全部取得条項付種類株式の全部取得の際など、多くの場面で活用がされています。

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