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相続人不存在による後見終了について~後編~

コラム 成年後見

さて、前回の記事、
相続人不存在による後見終了について~前編~
の続きです。

成年被後見人本人が死亡した際に、相続人が不存在である場合で、相続財産管理人選任の申し立てをしない場合、残余金を法務局へ供託する場合の注意事項や、供託書の記載例を今回は紹介したいと思います。

まず、後見終了の際に関する重要な条文です。

(後見の計算)
第八百七十条
後見人の任務が終了したときは、後見人又はその相続人は、二箇月以内にその管理の計算(以下「後見の計算」という。)をしなければならない。ただし、この期間は、家庭裁判所において伸長することができる。

(返還金に対する利息の支払等)
第八百七十三条
後見人が被後見人に返還すべき金額及び被後見人が後見人に返還すべき金額には、後見の計算が終了した時から、利息を付さなければならない。

これらの条文は、後見終了の際、非常に重要な条文になります。

まず、今回の記事のテーマである、成年被後見人が死亡した際に相続人が不存在であった場合で、相続財産管理人選任申立てをしない場合の「供託」でありますが、供託をする場合、供託書に、その供託をするに至った法的な原因を示す必要があります。

そこで私は、ごくごく簡単に説明しますと、
「相続人不存在です。相続財産管理人も選任されていません。だから今持っている現金を供託します。」
と原因を記載して、供託申請しました。
実際には、結構長い文章を供託書へ書き込んでいます。

すると、供託を担当する法務局職員から、少し検討させてください、と言われて、待つこと十数分。

法務局「先生、民放の873条に、後見終了後、返還すべき金額に利息を付けて返還する旨の規定があります。利息の起算日は後見の終了後に計管理財産の計算が終わった日になります。」

当職「そうなんですね(汗。か、確認できていなかった。。)。計算終了日は本日です。」

法務局「では、利息は発生しませんね。ですが、供託原因にその旨の記載を入れていただかないと・・・。。」

当職「一から書き直しですかね(汗)」

法務局「少し待ってくださいね。」

すると法務局の方が、供託書の原因記載欄の記載後ろ半分程度を修正テープで消し始めました。そして、

法務局「この辺くらいから、計算が終了した日を入れ込んで、書き直してください。」

当職「(訂正って、修正テープでえぇんかい。。)」

ということで、現場で供託書を訂正し、無事に供託を終え、裁判所へ報告して、後見事務の全てを終了することができました。

いい勉強になりました。

その時の供託書の記載例をご紹介します。
現時点では、あまりネットでも紹介されていない激レア情報ですよ(笑)

供託書の記載例
【供託者の住所氏名欄】登記事項証明書に記載されていた後見人の住所と氏名
【被供託者の住所氏名欄】住所:被後見人の最後の住所、氏名:亡〔被後見人の氏名〕の相続財産
【法令条項】民法第494条
【供託金額】実際に供託する金額
【供託原因】
供託者は、年月日〇家庭裁判所において〔被後見人の最後の住所〕〔被後見人の氏名〕の成年後見人に選任され(〇家庭裁判所〇年(家)第〇号後見開始事件)、〔被後見人の氏名〕の財産管理を行っていたところ、年月日同人が死亡し、供託者の後見事務が終了した。
そこで供託者は、後見終了に伴う管理の計算を行ったところ、年月日、その計算が終了し、同人の相続人に対して、金〔供託する金額〕円を支払う債務を負うこととなった(支払場所:被供託者住所地)が、〔被後見人の氏名〕には相続人が存在せず、相続財産管理人も選任されていない。
よって上記相続財産金を受領させることができないので、供託する。

 

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