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配偶者居住権は2つの遺贈で~後編~

コラム 相続

さて、前回の記事、
配偶者居住権は2つの遺贈で~前編~
の続きです。

前回の記事は、遺言で配偶者居住権を設定する場合は、配偶者居住権を「遺贈」目的として遺言に記載しましょう、という話でした。
本テーマの「2つの遺贈で」の1つ目の遺贈でしたね。

さて、今回は2つめの遺贈のお話です。
上記で配偶者居住権の設定をされた建物そのもののお話となります。

配偶者居住権が設定された建物の所有権は、完全な所有権ではなく、配偶者居住権の制限を受けている制限付き所有権になります。

遺言で、この制限付きの建物を相続させる、とされた相続人は、完全なる所有権を取得できませんので、「いらない」という選択をするには、相続放棄しか選択がなくなり、他の遺産まで受け取れなくなってしまいます。

そこで、配偶者居住権を遺言で設定する場合、その対象となっている建物の承継も「遺贈」の対象とすることで、相続とは別に、その制限付き建物の承継を個別に拒否できるようにすることができます。
逆に、遺贈とすることで、その建物に関し制限がある所有権について、承継するかどうかの受遺者側の判断を反映することができるように、遺言を設計すべきなのです。

前回の記事で配偶者居住権を遺贈の目的としなければならないように法定されている趣旨は、遺贈とすることで配偶者居住権そのものを相続とは別に、個別に拒否できるようにするためでありました。
これと同様の趣旨になります。

ただ、配偶者居住権そのものは、遺贈でなければならず、これが法定されていますが、その建物自体は、何も規定がありません。
仮に、専門家が関与して、または仮に、公正証書の遺言であっても、配偶者居住権が設定される建物を「相続させる」として遺言することも可能になっています。

だからこそ、関与する専門家としては、その建物自体の承継も「遺贈」として承継させる内容にしましょう、とアドバイスをする必要があります。

もし、専門家の関与なく遺言を遺そうと考えて、この記事をあたった方は、是非、配偶者居住権については、2つの遺贈をご考慮の上、遺言を作成頂ければと思います。
(→【令和3年4月追記】令和3年4月時点の運用として、配偶者に配偶者居住権を遺贈した場合で、その他法定相続人に対象の居住建物を相続させる旨の記載がなされた場合、遺言書の全体の記載から、対象建物の相続させるのではなく、これを遺贈の趣旨と解釈することに特段の疑義が生じない限りは、居住建物の所有権のについても遺贈(負担付遺贈)の趣旨であると解釈して取扱いされることになりました。詳しくは「遺言で配偶者居住権の遺贈があった建物を相続させると記載がある場合」をご参照ください。)

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