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一連の申請内で印鑑証明書を住所証明書としても利用する裏技~前編~

コラム 不動産登記

不動産登記申請、例えば所有権移転登記等において、登記申請義務者(売買でいうと売主)の意思を確認するために、印鑑証明書の添付を求められております。

また、同じく、例えば所有権移転登記等において、登記申請権利者(売買でいう買主)の住所を証明する書類を求められております。
原則として住民票を添付することが多いと思います。

例えば、XさんがAさんから不動産を購入し、同時に別の不動産をBさんからも購入したとしましょう。
登記申請としては、申請1:所有権移転(A→X)、申請2:所有権移転(B→X)の登記を2申請することになります。
住所の証明として申請1に利用した住民票は、申請2において「前件添付」としておけば、住民票を2通用意することなく、1通の住民票で申請をすることができます(申請2に利用して、申請1で「後件添付」でも大丈夫です)。

さてさて、この住所を証明する書類ですが、印鑑証明書も住所証明として利用することができます。

事例として、Xさんが甲銀行の借入でAから不動産を購入し、購入した不動産を甲銀行に担保提供したとしましょう。
申請1:所有権移転(A→X)、申請2:抵当権設定(X所有の不動産に甲銀行が担保をつける)の登記を2申請することになります。
申請1については、Xの住所を証する証明書、通常であれば住民票が求められます。
申請2については、申請1で新所有者となったXの担保提供の意思の確認のため、Xの印鑑証明書を求められます。

さて、この事例の売買決済時に、登記に必要な書類を確認した際、
な、な、なんと、Xの住民票がない!!
なんて場合どうしたらいいでしょう。

単純に考えて、申請2に所有者の意思確認のために印鑑証明書の原本を添付しますので、これを住所の証明書として利用するものとして、申請1で「後件添付」の扱いをしたらいいやん!!
と思ってしまいがちですが、これはできないのです。

司法書士や補助者、受験生などの業界人としては、「当たり前」の知識なのですが、そうでない方は、なんでなの??と思うのではないでしょうか。

登記申請の際の必要書類は、全て不動産登記法や不動産登記規則等の法令によって定められております。
必要書類として、所有者の意思を確認するための印鑑証明書も、とある条文に記載されておりますし、住所を証明する証明書も「前記とは別の条文」にて記載されております。

さて「前件添付」や「後件添付」の扱いが認められているのは、同じ法令で求められている同じ用法で利用する場合に認められています。
ですので、同じ印鑑証明書なのに、所有者の意思確認として利用した印鑑証明書を、これとは別の法根拠より求められている「前件添付」の利用をすることができない取扱いになっています(もちろん同様に、申請1に添付した住所証明書として印鑑証明書を、申請1で意思確認としての印鑑証明書として利用する「後件添付」の扱いもできません)。
業界の方は「根拠条文が異なるから、前件添付の扱いができない」って感じで語ります。

でも、裏技があるのですよね。
それは次回、
一連の申請内で印鑑証明書を住所証明書としても利用する裏技~後編~
の更新に致します。

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