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他管轄に根抵当権を新規追加設定し、同日に元管轄の根抵当権を全部抹消した場合の共同担保目録の扱い

コラム 不動産登記

司法書士向けの少し専門的な内容になります。

A管轄の不動産甲、乙に既設定の共同根抵当権が設定されている。
今回、不動産甲、乙を売却するため当該根抵当権を抹消する。
しかし、今後とも根抵当権者である銀行とお付き合いをしたく、この共同根抵当権を再利用したい。
よって、B管轄の不動産丙に、当該根抵当権の追加担保設定を行った上で、A管轄の根抵当権を抹消したい。

というような事例です。

こんなことをするってことは億単位の根抵当権が設定されているので、この設定に新たに登録免許税を払うと結構な額になります(極度額の4/1000)。だから、1筆1500円で済ませたい、という趣旨の動きになります。

流れとしては、B管轄で根抵当権追加設定、その後にA管轄で根抵当権を抹消、の順番に事務が進みます。
日が別々であれば問題ありませんが、これを同日にする場合、法務局側で、共同担保目録の事務がうまく進まないのではないかと考えました。

B管轄法務局からすると、追加設定申請時点で共同担保目録がありませんから、これを作成することになります。
次いで、これをA管轄法務局に通知し、追加設定をA管轄法務局に反映させることになります。
その後、次いで抹消申請があったA管轄法務局にて、担保抹消がされ、共同担保目録の抹消がされ、これがB管轄法務局に通知され、B管轄法務局での共同担保目録に抹消の記録が反映されます。

流れをまとめると、
1、B管轄で共同担保目録が作成(内容はA管轄+B管轄の不動産が記載)
2、B管轄からA管轄へ共同担保目録の通知がされ、A管轄に記録が反映される(B管轄の不動産が追加記載される)
3、A管轄の物件全部が抹消され、共同担保目録が抹消
4、A管轄からB管轄へ共同担保目録の通知がされ、B管轄に記録が反映される(A管轄の不動産の記録が抹消される)
という流れになります。

これ、同日にしちゃうと、B管轄の追加設定を何も知らないA管轄の法務局は、B管轄の追加設定より先に抹消登記を完了させてしまう可能性がありますよね??
そうなると、B管轄で共同担保目録がうまいこと作成できないぞ、新たな設定にしてくれ!(登録免許税を極度額の4/1000払ってくれ)という風になりかねない!と心配したわけです。

そこで、事前に法務局と調整をとりました。
どうも他管轄法務局間での共同担保目録の通知は、システム上で自動で通知されているようです。
今回の事例の場合は、法務局間で連絡をとりあって、これを手動にて行う必要があるようです。

うん、事前に調整をとってよかったです。
A管轄、B管轄のそれぞれ申請に、今回の申請の全体の趣旨を説明し、法務局間にて相互連絡をお願いする説明メモを一緒に添えて、申請を行い、無事に思い通りの登記完了に至りました。

(後日譚)
B管轄の登記後の証明書を取得したところ、なんと共同担保目録からA管轄の不動産が抹消されていない!
その時は、まだA管轄の申請が審査中でしたので、「抹消がまだ終わってないので目録の通知ができてないのか、しまった」と思い、A管轄の登記完了後、改めてB管轄の登記後の証明書を取得しました。

そうしたら・・・。
まだ、B管轄の共同担保目録からA管轄の不動産が抹消されていない!
すぐにA管轄の法務局へ電話しました。
どうやら、特殊な登記だったので、他管轄間の共同担保目録のやりとりがうまくいっていなかったようです。
その後、法務局にて、問題点が処理され、無事、共同担保も含めて登記完了となりました。
(ロスした登記事項証明書・・・私で負担するしかないですよね。。)

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