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共同担保目録へ記載がされる順序(共同根抵当権の多管轄設定の事例)

コラム 不動産登記

共同担保目録、昔とは異なり、調製が法務局の職権になりますので、記載の順序も含めて細かい部分は研究が不足しておりました。

今般、ご依頼者様より、共同担保目録の記載について、細かい部分まで質問がありました。
当該ご依頼者にとっては、今回担保設定する不動産に関する事業について、並々ならぬ思い入れがあるとともに、これを共同担保目録の中で、一番上に記載したい、同事業不動産を一つグループでまとめて記載したい(例えば同事業の土地の建物の間に他の事業の物件が入って欲しくない)等、共同担保目録記載へのご希望があり、ご質問を頂いたのですが、回答できない部分がありましたので、この際、ご依頼者様からの質問があったということで、法務局に尋ねてみました。

ご回答頂いた調査官の方、お忙しい中ありがとうございました。
さすがの調査官の方も、一部の質問が細かかったようで「ちょっと待ってくださいね」と言って、後ろに聞きに行ってくださいました。

不動産登記法の改正で、目録が職権調製になりましたので、改正以降に司法書士になった方については、これらのことはあまり詳しくないと思います。
せっかくですので、ご紹介したいと思います。

まず事例設定をしましょう。
前提1 共同根抵当権の多管轄設定
前提2 A法務局管轄 不動産1つ
前提3 B法務局管轄 不動産1つ

多管轄の新たな設定ですので、免許税軽減のため、
1 【A管轄】根抵当権設定
2 【B管轄】共同根抵当権設定(追加)
と順番はどっちでもいいのですが、申請を分け、形式上の序列をつけて同日に申請する必要があります。

B管轄には、A管轄の登記が完了したら減税証明たる不動産照会番号を提供するので、補正コメントを出してもらうよう通知します。
(一部の法務局では、不動産照会番号を減税証明として扱ってくれない場合がありますが、大阪法務局管内は取り扱ってくれます。)

そして、A管轄の登記審査が完了したとしましょう。
この時点では、何も共同担保目録は調製されません。

A管轄の登記完了後、申請人サイドで不動産照会番号を取得して、B管轄の補正追完にて、これを提供し、B管轄の審査が最後まで進むことになります。
この時点で、初めて共同担保目録1が調製されます。

この共同担保目録1には、どのような順序で物件が記載されるのでしょうか?
なんと、自管轄の物件をズラリと記載した後に、他管轄の物件を記載するようです。
B管轄の物件、A管轄の物件、の記載順です。
登記の目的は「共同根抵当権設定(追加)」ですが、共同担保には追加の記載はされません。
初めての調製ですので、追加にはあたりません。
共同担保目録の「追加」の扱いは、共同担保目録が調製された後に物件が追加されたことを意味しますので、今回のケースでは、共同担保目録の中には、追加の文字は入りません。

B管轄で共同担保目録が調整された審査が完了となった後、調製された共同担保目録がB管轄よりA管轄に通知され、ここで初めてA管轄にて共同担保目録2が調整されます。

A管轄にて調製される共同担保目録2はどのような記載順序になるのでしょうか?
なんとなく、B管轄と同一の順番で調製されるのではないかと思っていました。
なんと、この場合も自管轄の物件を記載した後に、他管轄の物件を記載するようです。
A管轄の物件、B管轄の物件、の記載順となり、B管轄の共同担保目録とは順序が逆になります。
そして、ここで、このA管轄の共同担保目録2の中のB管轄の物件に「追加」の文言が出てくることになります。
また、乙区にも同根抵当権に付記登記にて、追加担保がされた旨、今回調製された共同担保目録の番号が職権で登記されます。

ということは、A管轄の不動産の登記事項証明書と、B管轄の不動産の登記事項証明書の共同担保目録の記載順序や内容が少し違ってくる、ということになります。

後日、ここからA管轄に追加担保したとしましょう。
共同担保目録が調製されてから後日の追加担保の場合は、管轄は関係なしに追加順に後ろ後ろに記載されていきます。

奥深いですね。

上記と同じ事例で、A管轄の根抵当権設定が不動産2つの場合は、A管轄の登記審査完了時点で、共同担保目録が調製されますので、上記の帰結と比べると、目録調製のタイミングが少し異なり、B管轄の審査完了後のA管轄宛ての通知にて、既に調製されている共同担保目録にB管轄の不動産が追加され、共同担保目録には「追加」と記載されます。既に調製されている共同担保目録に物件が追加されるので、後ろ後ろに記載されていくことになります。

これだけの情報があれば、大体の共同担保目録の調製に関する仕様がわかるのではないでしょうか。

今回の質問がありましたので、今まで自身が登記申請した事例を色々見てみました。
同管轄にて、1つの土地の根抵当権設定がされていて、建物を追加する場合、ここで初めて調製される共同担保目録の順番が、建物、土地の順番になっていました。
時間の制約もあり、他の事例を深追いしておらず、他はどうなっているのかわかりませんが、何となく、土地、建物、の順番がしっくりきますよね。
(今回の当職へご質問されたご依頼者の気持ちが少し分かりました)

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