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所有権移転仮登記の本登記にかかる登録免許税

コラム 不動産登記

さて、今回は、仮登記とその本登記に関する登録免許税をテーマにしたいと思います。
特にその中でも、所有権移転に関する仮登記と本登記の登録免許税をテーマに致します。

まずもって、仮登記とは何なんだ??
ということですが、仮登記とは、文字通り、仮にしておく登記です。
ごくごく簡単に言うと、登記の予約です。

実際に発生している権利を、諸事情により予約だけ取っておく場合や、権利発生に条件が付されていて、将来の条件成就に備えて予約を取っておく場合など、利用される場面は様々です。

抵当権などの担保権の登録免許税は、仮登記は不動産1個につき1000円で、その本登記も普通に抵当権の設定登記をする場合と変わりませんので、非常にシンプルです。
しかし、所有権移転に関する仮登記と本登記にかかる登録免許税は、実務上、注意が必要です。

基本的な考え方は、予約時に登録免許税を払います。そして本登記の際には、実際に普通に登記する際の登録免許税の差額を払うことになります。
基本的には、売買や贈与の所有権移転は、減税を加味しない場合は、税率は20/1000(不動産の価格に対して。以後全て同様。)です。
仮登記はその半額、つまり10/1000となります。

現行法で説明すると、、、例えば「死因贈与」で説明するならば、不動産の価格が1000万円として、令和2年10月1日に、死因贈与契約を締結して仮登記をした場合、登録免許税の税率はその10/1000の10万円となります。
そして、令和2年11月1日に受贈者が亡くなり本登記をする場合、その登録免許税は、実際に普通に所有権移転をする場合の登録免許税の20/1000から既払い分の10/1000を控除して、その差額10/1000の10万円を支払うことになります。

例えば、上記の事例で同様の日付で、売買予約がされたとしましょう。
令和2年10月1日に売買予約契約を締結して、これを仮登記した場合、上記と同様に10/1000の10万円の登録免許税がかかります。
そして、令和2年11月1日に予約権を行使して、同日に登記をした場合、現行は「土地」の「売買」については、期間限定で本則からの減税があり、本則の20/1000から割り引かれ、税率は15/1000となります。
よって、本登記の際に支払う登録免許税は、15/1000から既払い分の税率10/1000を控除して、その差額5/1000の5万円を支払うことになります。

上記のように、基本的には、仮登記時に払い、さらに本登記の際には差額を払う、ということになります。

シンプルなようで、実は奥が深いのです。
土地の所有権移転の登録免許税については、政策上、これまでに様々に変更がされてきており、また、仮登記の登録免許税自体も変更がなされている経緯があります。
また、贈与などとは別に「土地の売買」についての所有権移転についてのみ減税されきた経緯があるので、所有権移転の「原因」によってその税率が異なり、そもそも税率が異なる「相続や合併」などの原因を含めると、一言で所有権移転の仮登記の本登記といっても、その登録免許税は、非常に複雑でわかりにくいものになっています。

A:仮登記をした、時期、原因等によって、払っている仮登記の登録免許税の税率が異なります。
B:そして、普通に所有権移転する場合でも、時期、原因等によって、払う登録免許税の税率が異なります。
よって、B-Aが仮登記の本登記に際に必要な登録免許税の税率なので、その組み合わせによって、登録免許税の税率のパターンが異なることになります。

司法書士じゃないとわからないですよ(汗)

所有権移転に関する仮登記の本登記の登録免許税の税率について、以下にまとめておきます。

登記原因が相続、合併、共有物分割の場合
平成15年3月31日以前は、1000円
平成15年4月1日以後は、2/1000

登記原因が売買(土地に限る)の場合
平成15年3月31日以前は、登録免許税12/1000
平成15年4月1日から平成18年3月31日までは、7.5/1000
平成18年4月1日以降は、5/1000

登記原因が上記以外の場合
平成15年3月31日以前は、16/1000
平成15年4月1日以後は、10/1000

上記は、居住用家屋の減税などは加味しておりませんので、そういった減税があれば、原則通り、普通に登記する場合の減税後の登録免許税の税率から、既払いの仮登記の際に支払った登録免許税の税率を控除して、本登記の登録免許税の税率を算出することになります。
居住用家屋の減税が適用されれば当てはまることが多いと思うのですが、もし、普通に登記する場合の減税後の登録免許税の税率より、仮登記時に支払った登録免許税の税率が大きい場合、本登記の際に支払う登録免許税は1000円となります(仮登記時に支払った登録免許税の税率分を還付することはできません)。

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