1.当司法書士と受任契約後、金融業者の保有している返済取引と融資取引の記録である「取引履歴」を司法書士が請求し当司法書士事務所に取引履歴が届いた後、一連の取引を利息制限法に基づく利息で再度引き直し計算した結果、過払い状態であることが判明した場合、以下の通り過払い請求を各業者にしていくことになります。
なお、取引履歴はご本人でも取り寄せが可能な文書であり、事情によっては、司法書士介入前にご自身でこの取引履歴のお取り寄せを指示させていただくこともあります。(下記注1)
→引き直し計算の結果、過払い状態に至らず債務が残る場合は債務整理の手続となります。
債務整理の詳しい手続きの流れは、コチラの債務整理手続の流れのページをご覧ください。
2.まず、過払い金を返還するよう各業者に過払い請求書を送付します。過払金返還請求権の消滅時効は最終取引より10年です。現在取引があっても過去に完済し解約の経験をお持ちの人は、業者側より完済前の取引について消滅時効が完成しており過払返還請求権が消滅していると主張されることがほとんどです。過去の完済時、または最終完済時取引から10年を経過しそうな場合は、この過払い請求書を内容証明郵便にて送付し、時効中断の措置をとります。
3.過払い金については、その計算方法や、過払い金の存在についてなど様々な法的争点があります。過払い金の存在自体を争ってくる業者もあれば、計算方法が違うと争ってくる業者もあり、その対応は業者によって異なります。過払い請求者側は、当方に一番有利な計算方法と法的解釈に基づいて、主張し得る最大の額をもって過払い請求をします。(注2)
4.それぞれ過払い請求書が業者に届くと業者側でも過払い金についての精査が始まります。計算方法、取引の分断、時効の完成など、様々な事実、法的解釈などが精査され、精査が終了すると、双方間で和解交渉がはじまります。
5.和解交渉では、過払い金返還に係る金額や返還時期などについて、お互いの法的解釈や財務状況を踏まえ、当方からの提案、業者側から提案をぶつけ合います。ここで合意が整えば、返還に係る和解書を交わし入金を待ちます。
合意に至らない場合は、過払い返還請求を訴訟の方法により追行していくこととなります。場合によっては、最初の請求の段階で即訴訟を提起することもあります。
6.アコム、プロミス、武富士、アイフルなどをはじめとした様々な消費者金融業者がありますが、過払い訴訟提起後は対応部署が変更されることがほとんどです。
訴訟提起後も、引き続き和解交渉にあたります。訴訟中に和解合意が整えば、訴外で和解又は裁判上の和解をして、過払い返還金の入金を待つことになります。
訴訟中に和解合意が整わないのであれば、判決により訴訟を終結させて、強制執行を盾に取り任意での返還を求め、この返還要求に業者が応じない場合は強制執行による回収を検討することとなります。
(注1)
過払い状態に至っていれば、過払い請求をしても信用情報機関へ事故情報の報告はされない運用となりました。
しかし、引き直し計算の結果、過払い状態に至らず、借入残が存在し、任意整理となれば従前と同じく信用情報に事故情報が報告され、ブラックリスト化するので注意が必要です。
司法書士介入前にご自身で取引履歴をお取り寄せ頂くことで、お手続きに入る前に過払い状態になっているか否かを調べることができます。
(注2)
事案によっては、請求額=回収額になるとは限りませんのでご注意ください。
(注3)
ショッピングカードなどでの取引でも、ショッピング利用の場合は、利息制限法を超過する支払がないのが一般的ですが、そのカードでキャッシングをご利用の場合は、利息制限法を超過する支払をしていることがあります。ショッピングカードだからと言って過払いがないとは限りません。
クレディセゾンやニコス、セディナ、オリコなどの信販会社でもキャッシングをご利用になっていた場合は、利息制限法を超過する支払が存在する可能性は十分にあります。
*上記説明は、あくまで一般的なことを説明したものであり、例外が数多く存在します。ご自身で専門的な判断をされないようにお願いいたします。
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